





20世紀前半のフランス・ミルクールで活動したJean Larcher(1901–)。名門Collin-Mézinの工房で学び、1920年代にはその仕事を引き継ぐ立場となった製作家です。もともと工学を学んだ人物でもあり、伝統的なフランスの製作技術に加えて、独自の視点から楽器製作に取り組みました。古いイタリアのモデルを基礎としながらも、アーチングには自身の考えを取り入れたことがLarcherの特徴として知られています。
フランス楽器らしい繊細さと端正な仕上げを持ちながら、音にはしっかりとした芯と力強さがあります。特にLarcherの魅力は、単にCollin-Mézinのスタイルを受け継いだだけではなく、自らの設計思想を楽器に反映している点にあります。ミルクールの伝統と、20世紀フランスの新しい感性。その両方を一つの楽器の中に感じることができる、知るほどに面白い製作家です。
